地方都市の憂鬱〜サバービアンの嘆き(嘘)〜


最近、東京ディズニーランドのステッカーを車の後部につけて走る姿をあまり見なくなったと私は勘違いしていた。古いタイプの車種で、色が焼けてしまったステッカーを見ると、さすがに「私はここに行ったんですよ!」という、かつての観光地のペナント的なものを自分の所有物につける感覚はちょっとなぁ……ということに多くの人が気づいたのだと思っていた。

しかし、この前ふと気づくと、自分の前を左側から蛇行して追い抜きをしてゆく車の後部に久々にディズニーランドのステッカーがあった。これは穿った見方であるのは百も承知しているが、もしこの車に「危ないじゃないか」とパッシングないしホーンを鳴らしたとすると…

急激な幅寄せにより、車体をぶち当てられながら中央分離帯接触し、停止せざるを得ない私の黒い軽トラック。
降りてくる男。見かけはいたって普通で、どちらかといえば大人しそうな印象さえ受ける。
その男が無表情で私の車に近づき、なんの前置きもなくフロントドアをボンッ、ボンッと蹴り続ける。これはまずいと焦って警察に電話しようとする私。男の口は小さく動いている。
そのうちに男は素手で、叩き降ろすように私の車のサイドミラーを破壊する。
素手の右手でフロントガラスをフリッカー気味に体重を乗せ殴り続ける男。
私は焦りながら、現在地を警察に連絡をするが、すぐに現場に行ける署員はいないとのことで、交通課じゃなくて、他課でも地の人間でもいいからとにかく送ってくれとお願いするが、難しいとの回答。
男の振り下ろす手からは血がにじみ、ガラスは鮮やかな色に染まり始め、セロファンを通したような色に車内が変わる。一瞬きれいだなと思うけれどすぐに我に返る私。
私の車の後ろには半端じゃない渋滞が起きているけれど、すべて警笛を鳴らすでもなく、ダラダラと迂回してゆくのみで、絶望的な気分になる。
5分ほど、スロー再生のように鈍い音を立てながら色が変わってゆくフロントガラス。もう色はドス黒くなってきており、クモの巣のような模様でゆっくりと割れてきている。
パラパラとベッコウ細工のようにちいさな飴状に降ってくるガラスのかけら。
1センチほどの穴が空き、殴りつける音と共に小さな声が聞こえる
平坦なトーンで壊れた巡回販売の車が鳴らす音楽のようなその声は、

「ぼっくらの ク ラスの リッイッダー はぁ ミッキ ミキ ミキミキミキミキ ミッキヒィ マフゥスフー」

私は車の中にあるのはライター、傘、ボールペン、クレジットカードを割って手で握るかなどと考えている

そんなイメージをちょっとだけ浮かべてしまった。でも、私はディズニーが大好きで、スローなかわいらしさのあるプーさんのTシャツやオールドディズニーの黒い虚無の目をしたミッキーマウスが大好きで着用しています。
眠るときにも大きなぬいぐるみのプーさんが枕元に、キャラクターがたくさんのタオルケットを使用するイメージで眠りについているぐらいです。

話は元に戻りますが、私が昔のデザインを踏襲したようなステッカーを見なくなっただけで、注意してみると、小さいシルエットだけのもの、デザインがアシンメトリーでデザイン的にうるさくないものに変わっているだけで、結構な数のステッカーを確認することができました。
地方都市に住んでいるからこそなのか、普遍的に存在しているのかは分かりません。しかし、モータリゼーションが発達し、巨大資本に支えられたチェーンストア(難しいことを言い出しましたよと注意)だらけの町では同じような状態、環境なのではないかと思います。千葉から相当離れた地域でもこうなのですから、もっと車で行きやすい地域だったらなおさらでしょう。

どこの町に行っても新鮮味がなく、前に来たことのあるような既視感を覚えるのが現状ですが、頭がよくセンスのいい方に警鐘を鳴らしたいのは、退屈な場所だと思ってもそれを口に出したり、自分が以前に町で暮らしていたときの話をあまりしない方が無難だよと言うことです。無自覚にぽろぽろそれをこぼしてしまう人があまりにも多いです。

職場には全国からいろいろな人がやって来ます。卒業した学校や就職した先の本社所在地が東京にあっても、配属先は当然割り振られ、地方に赴任することがかなりの確率で分かり理解しているにも関わらず、地方に来るとつい地方感というか、閉塞感や店のなさを口に出したりしてしまいがちですが、そこでいったん考えてみて、
・つまらないのは自分ではなかろうか
・面倒くさいけど人間関係を築く努力をしていないんじゃないか
・町にいるときにそれほど店に通い詰めたりしていたんですか

考えてみてください。自分がいる現在地と環境を否定することは、同時に周りで暮らしている人を否定するのと同義であり、そう言うことを口に出す人はどこに行っても受け入れられません。「お前の住んでいる場所つまんねーし面白い人間全然いないよ、お前を含めてな」と言っているのに近いです。
きつい人は「つまらないのはここじゃなくてね、君だよ。元気いっぱいだね。そんなに町がよければ早く、ホラ、出て行きなよ。君は鳥のように自由だ。で、豊かなのは君?それとも町依存で?」とスーンとした顔で考えるので、それに反駁できるほどの材料を持っていない人にはNGワードです。


この文章は、マックエアーブックにワインをこぼしたという紺野くんが「ブログの更新できないや」と書いていたので、代わりに書いてあげるよと答えたので書き出しましたが、紺野くんはさっそくディスプレイを直して更新できるようなのでここにアップロードします。よかったね。こんな内容のもの載せられなくて。

石版:(脱北者)紺野くんのブログ 石版!


今日は雨で、静かな気持ちでアサガオの花弁が濡れているのを眺めました(今回の日記の殺伐さに対する無力なフォロー)

それじゃーね。

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