風景がぶうんと揺れる

azakeri2004-10-25

私が車を運転する時は、だいたい「持っているけれどまだ聴いていないアルバム」を聴くことにしています。今回は片道3時間ぐらいの道のりだったので、出かける前にレニー・クラヴィッツの「バプティズム」、奥田民生の「ライオン」、アジアン・カンフー・ジェネレーションの「ソルファ」、フェイスレスZoot16、DATA POPのニューアルバムなどをきちんと準備してから出かけました。
運転にかかる時間+移動先での待ち時間を考慮して、9時間分ぐらいの音楽を持っていったのだけれど、渋滞に巻き込まれたこともあり、私にしては画期的にきちんと準備をしたにもかかわらず、音楽不足に陥りました。由々しき事態です。
アルバムを2周させるのもどうかなと考え、気まぐれにカーラジオをつけると、アナウンサーの落ち着いた声で、地震の被害に遭い、連絡がつかない人々に対してのメッセージがたんたんと読み上げられていました。BGMもなく、渋い低音の魅力すら感じられます。
「〜さん、会社に連絡をしなさい」「郷里の皆が心配しています」「もし、連絡できるようであればお願いします」「至急連絡してください」「従業員の皆様、ご無事でしょうか」メッセージにも色々な形のバリエーションがあり、感心するほど、全く一緒のものがありません。
夜のがら空きの道、車を走らせながらなんの気なしに聴き続けていると、人間の繋がりというものを考えさせられました。こんなにリアルに人間のよい面を感じることは最近なかったかもしれません。ラジオもいいものだなと再発見です。
空気がとてもきれいな場所を走っていたので、きれいな半円の月を眺めながら、なんにもしていないのにいい心持ちになっていました。
1時間もその放送を聴いた頃だったでしょうか。
「〜さん、大丈夫だったでしょうか。ご無事をお祈りしています」というメッセージが読み上げられました。その名字がなんとなく頭に引っかかり、モヤモヤを晴らそうと、コンビニを見つけるとすぐに入り、新聞の夕刊を購入。地震関連のニュースを探し、地震の被害に遭われ、亡くなった方が掲載されている記事を確認すると、さっきのメッセージで読み上げられた名前がそこにありました。