不幸な猫の話。

こんにちは、懲りずにまた日記を書きます。id:mk666です。あざけり軍団は「猫溺愛人間」が多いことがなんとなく印象にありますが、かくいう私は猫を飼った事がありません。しかし、私の実家の周りがたくさんの野良猫が棲みついております。

話は私の小学生時代にまでさかのぼります。当時、私はソロバンを習っておりました(周りの友人たちは皆、スイミングスクールに通っていたのにも関わらず、私だけ何故か地味にソロバンを弾かされていました)。季節は冬。雪が降らない間は、お気に入りの緑色の自転車(祖父が川原で拾ってきた)を駆って塾まで通っていたのですが、雪が降ってしまうとタイヤが雪で埋まって進めなくなってしまうので、その日は車で母親に送ってもらうことになっていました。父親が家にいたから曜日は会社が休みの土曜日だったのだと思います。

暖房の効いた車の中で、これから暗算だとか読み上げ算だとかをやらなくてはいけないのか…なんて気が重くなりながら、後部座席に座っていると、車が動き出した途端に下の方から「ギギィィィニャアァァーーー」と言う異常な音が聞こえ、車が動かなくなりました。車に乗っていた母と私は顔を見合わせました。

母は車を降り、家の中にいた父を呼びにいきました。父は元自動車整備工なので「まかせとけ」といわんばかりに勢いよく車のボンネットを開け、エンジンルームの点検にかかりました。父は「猫がいるよ!」と叫びました。寒い雪国の冬、その野良猫は暖をとるために熱を持ったエンジンの中に忍び込んでいたようなのです。そして不幸にも、始動したエンジンの回転部分に足を挟まれてしまったのです。

なんとかして、猫はエンジンルームから救出されました。毛の長い、灰色の猫でした。後ろ足を血で濡らしながら、猫はヨロヨロとどこかへ逃げて行きました。それを見送った後、母は「ソロバン遅れるよ!」と私を急かしました。

その後何度か後ろ足を引きずった猫を家の周りで見ることがありました。その度に私は何か後ろめたいような気持ちになりました。

ある日、父がその毛の長い猫を抱いて庭を歩いているのを(茶の間の炬燵に入りながら)見ました。猫は動かなくなっていました。父は、柿の木の下に猫を埋めました。

猫のことを思い出したら、すごく悲しい気持ちになってきたので、書きました(書いたらスッキリしました)。思えば、あの猫のことのことがあったから、今私は獣医としての道を歩んでいるのかもしれません…*1

*1:最後の部分はウソです