あ・お米のお菓子、あ・パッカン。あ・パッカン。

私の本日は、午前中にこなしておかなくてはならない仕事があったのですが全く手が進んでいませんでした、昼頃、滞在している家の近所を、古いタイプのノイズが入るスピーカーから、「あ・お米のお菓子、パッカン。あ・パッカンはいかがですか?あ・パッカン」という放送が流れました。言葉の頭にぜんぶ「あ」を執拗に挿入する、おじさんの*1話法もあり、気になってしかたありません。思わず遠くの方で聞こえる宣伝の方角に向かい、ヨロヨロとさまよい歩いてゆきました。
午前中、室内はまるで温室の中のように暖かかったのですが、パッカンを求め歩き出してすぐに気づいたのですが、薄着では耐えられないほど外気は冷たく感じました。二十分ほど、まるでチワワみたいにスピーカーに向かってさまよい歩き、最終的には家の近所にたどり着き、幸福の青い鳥はやっぱりそばにあったのだと気づかされました。しかも鳥は画家っぽい丸い帽子のおじさんです。
私の前には元気な小学生(好敵手)が五人ほど、自転車で付かず離れずの距離をキープしたまま追跡中でした。舐めきった口調で小学生が「なんや、大人やのに追いかけとんの」と挑発してきた際、とっさにごまかそうとしましたが、ブルブル震えるような薄着、財布を片手に小走りではどうとも言えず、モゴモゴとそうだと答えました。
おじさんに「おねがいします、そのパッカンを」とオーダーしてお金を払おうとすると、「米五合と、さとう300gを持ってきてくださいね。あ・値段は950円」と材料の持参を求められ、急いで家に小走りで取りに帰りました。950円の上、材料持参かよとはひと言も口にせず、順番が遅くならないようにと急ぎました。そのせいで台所の床にちょっぴりお米を撒きましたが、見なかったことにして、おじさんのいる場所へと急ぎました。
お金と材料を手に戻ると、おじさんは「パッカン」作製の装置を整えていました。道路に大きな虫かごみたいな金網、ガス火で加圧する圧力釜のようなもの、それと左官屋さんが持っているような得物類。
「パッカン」作製の装置
私の順番までは一時間半ぐらいかかると言われましたが、せっかくなので小学生達と見守りました。寒い中、全く見たこともない子どもでしたが、NINTENDO・DSでクイズをやっており、それの答えをたずねられ、それに正解した事でちょっとした尊敬を得られ、コミュニケーション成立(価値はないという意味でプライス・レス)。
客が持参したお米を圧力のかかる場所に投入、熱で空気を膨張させているのかよくわかりませんが、ああもうだめだ、といった状態になるまで熱を加え、金網をかぶせ、おじさんが「大丈夫だよ!」と釜のお尻のあたりをそっと叩きます。そうすると
「ボン」
そうお腹の底に響くような大きな音を立て、白い煙を上げたお米が金網の中いっぱいにふくれながら飛び散ります。子ども達も私もびっくりして、思わずびびったりたじろいだりしました。
その後はお米を水あめで和え、木枠の中で食べやすい大きさに整形するだけで、面白さはあまりありませんでした。ちょっと寒かったので、できたお菓子をあげるから、できあがったら家に持ってきてくれる人?と子どもに提案してみると、五人ほどの子どもが名乗り出てくれましたので、お互いの利益を考え、後の事は託して帰宅しました。ちょっとだけですが、人類を支配するときってこんな気持ちになるのかな?なんて考えたり……

 パッカンをドーン! 先っちょを外す  
「ドーン!」をやってから先を外すところ。そしてお米を固めるおじさん(仕上げ)

出来上がったお米のお菓子、パッカンはポン菓子と呼ばれるものでした。出来上がったものはかなり大きなポリ袋いっぱいというシャレにならない量だったので、お菓子を運んでくれた子ども達にたくさんあげ、「ええの?こんなにもらって!」と感謝されました。食べきれないのを喜んでくれてこちらがうれしいとは言わずに、そうだろう太っ腹だろうという態度でいる自分の小ささを知りました。
パッカン、ンマーイ!

 晴れ、二月、冬

*1:バスガイドのような刷り込みテクニック?