サマーヌード

とても早い時間に仕事が終わり、まだ太陽がかなり高い位置にあるうちに家に帰る事ができるようになったので、ドライブがてらのんびりと帰ろうと、距離は遠くなるけれど、混雑していない、気持ちよく走る事のできる海沿いの道を使用して自分の家へと向かいました。
車積のCDプレイヤーは、何度もクリーニングしているにもかかわらず、最近ではもうあまり音楽を読み取ってくれなくなりました。入れても入れても何回も私が聴きたいCDを吐き出してしまいます。それでたまにはラジオでも……と思い、最近会話をするようになったばさんたちがよく話題にしている、みやちゆきお、矢野きよみ、ツボイノリオ、コボリさんが実際にはどんな感じのひとなのか聴いてみようと、AMラジオにチャンネルを合わせました。時間帯が悪かったのか、電化製品などを売る、生CM中の番組ばっかりで、有名なDJの気配は皆無でした。チャンネルを変えてゆく中、いいタイミングだったのか、「それでは暑い日になるとこの歌が頭の中でなりはじめるという……」という前置きの声が聞こえて、AM特有の音で響くピアノの前奏が始まったのが、真心ブラザーズサマーヌードでした。

なにかたくらんでる顔 最後の花火が消えた瞬間
浜には二人だけだからって 波打ち際に走る
Tシャツのままで泳ぎ出す 五秒に一度だけ光る
灯台のピンスポットライト 小さな肩
神様にもばれないよ 地球の裏側で 僕らいま
はしゃぎすぎてる 夏の子どもさ
胸と胸からまる指 嘘だろ 誰か思い出すなんてさ
真心ブラザーズ - サマーヌード

もう夏みたいに暑い日の午後、五人ぐらいのサーフィンをしている人が浮かんでいる海が見える国道を走りながら、すこしくたびれた気持ちだったのが、フッと浮き立ちました。遠くにわざとらしいぐらいにモクモクした雲もありました。サマーヌードはほんとうに夏のいい思い出というか、心の琴線にグッと触れてくるいい曲です。
でもよく考えてみると、今より若いときは、この歌詞に出てくるようにはしゃいだり、浜を走ることなんて「ケッ」と思ってしまい、できなかったように思います。体の弱い、すこしひねくれた夏の子どもだったのに、どうしてすごく懐かしいような切ない気持ちになるのか疑問です。そして、もっと素直に甘い思い出や、地球の裏側的なことをしておけば良かったな……もったいないな……と。
それでも、この曲は私の中に残っているかすかな夏の子ども的な部分を抽出してくれる力があるような気がします。

 


やけに心の中がザワザワとさせられました。モヤモヤした気持ちのままエアコンを切って、ラジオを消して、窓を全開にしてブオオオオオと吹き込む風を感じながら家に帰りつきました。今日の日記をまとめると、早く家に帰って、その途中で真心ブラザーズを聴いたという日記です。この歌を聴いていいなと思った人は、誰の事を思い出しますか?