雨だれ

最近のちびっ子は、私たちがかつて子どもだった頃とは訳が違います。今年五歳になる姉の子どもはパソコンを使いこなし、字は全く読めないながら「DECO-BOCO-FRIEND」「ぶぶチャチャ*1」の英語ページを読み、ゲームをするのです。
「なんとなく分かるの?」と、優しい大人風に質問してみると、「分からなかったらやれないでしょ。だいたい分かればええの」と切り捨てられました。

そんなちびっ子が、またひとつ悪さを覚えました。母親が自宅電話を使ってどこかに電話する時、その指の動きで番号を覚えて、ちょっと独りになった時などにかけるのです。
私の所にもしょっちゅうかかってくるようになりました。あまり話すことがないのか、
「ごはんきちんと食べてる?」
「ひとりでさみしくない?」
などと、気をつかってくれます。

そんな電話が昨日もありました。姉は一階で洗い物をしているとの説明があり、唐突に「雨、大丈夫だった?」と心配そうに尋ねるのです。
「それほどざんざん降りでもなかったよ」と答えると、「よかった…穴があかないかと心配やったん」
私は二秒ほど考え、理解できずに「穴が?雨で穴?」と質問すると、バカだなあといわんばかりに
「今日な、曇やったで外で遊んどったん。そしたらな、雨がな、バラバランと降ってきてん。それがな、顔とか頭に当たって痛かった。いろいろと弱いから、大丈夫かと思って電話したん」

子どもにとって、強い雨は痛いと感じるものなのか。ありがとう、やさしい思いやり。でも子どもに心配させるなんてな。そんなこと考えながら「大丈夫。元気いっぱいだから」とフラフラの体で答えました。

電話を切って、のど塗ーるスプレーを使っている時、ある事に気づき、フゴっと気管がむせました。

待てよ……「いろいろ弱い」ってのは頭と顔か?しかし電話を切ってからようやく気づくってのは……やっぱりそうか……でも顔は大丈夫なはずでは……たしかに強そうではないが……子どもの正直さがにくい。


今回のまとめ
1、雨だれが顔に当たると痛いと感じる子どもの感受性
2、子どもならではの残酷さ。

*1:死んでしまった飼い犬が、オモチャの車に憑依するライトタッチのホラー