サラバイバイ

秋になったら、今使っている病院を引き払い、転院することを決めたので、それを顔なじみの小学生二人に伝えました。透析ボーイと膵臓ガールに「ちょっと、遠くの方に行くことになったから、もう会えないかもしれない」と紛らわしい言い方をしてしまったため、透析ボーイはいきなり泣き出しました。「うわぁ」と声を出して。私のため、涙を流してくれるなんて。胸がいっぱいになり、もらい泣きしそうになりました。透析ボーイには「よくなる薬だから、苦しいときにな*1」と言って、フリスクを二つあげ、もう一人の小学生は女の子なので、サンプルの色がちょっとつくリップクリームをあげました*2
私は感激しながら「また、いつか連絡するよ」と言って聞かせると、不思議そうな顔で「へ?死ぬんちゃうの?」「泣いたぶん、損しちゃったけどよかった」と照れくさそうに笑ってくれた彼は、遠くの方といえば、死後の世界と勘違いしたのです。
彼は、病状が悪化したら移植の可能性が高くなるという微妙な状況にいます。なんとまぁ大変な。ちびっこなのに大変です。でも、その後に「退院したら、もうそれっきりになって置いてけぼりになる」と透析ボーイが涙目になっていました。常に見送る立場というのはなんともいえず切ないものです。「心きたなくならないようにね」と小声で伝えられたのは、私に対する煽りだったのでしょうか。思わずその言葉を発した口と目をじっと見つめると、澄ました顔で他意はないようでした。素直にそんな事言われたほうがショックだよ……
他のおっちゃんたちにも挨拶をしたのですが、それはまた今度書きます。

*1:前にしんどいときに私があげたフリスクを舐めたら楽になったというので

*2:いつも秋のプール上がりみたいに真っ青な唇をしているので