静かにドアを開けたら、ちびっ子がアルバム鑑賞中(驚)。

子どもの記憶
人間は何歳からの記憶があるんでしょうか。私は、「一歳のときの記憶がある」と熱弁する人の話を聞いたとき、うんうんと頷きながらも「後追いで自分の中の記憶を組み立て、錯覚しているんだろう」としか思っていなかったのですが、ちょっと前に「人間はかなり早くから記憶能力がきちんとある」と考え直すようになりました。
この写真は、二歳になったばかりの姉の子どもです。部屋で遊ばせる際に、お菓子でもあげようとキッチンで探して、ミルクを入れてやってから部屋に戻りました。部屋にひとりで残したのですが、あまりに静かなので眠ってしまったのかとそーっとドアを開けると、ひとりでアルバムを眺めていました。
以前に私の家に遊びに来た際(1ヶ月前)、子どもの写真を撮影してあげて、撮った写真はここに入れておくよと教えました。私はその事を忘れていたのですが、お菓子を口にしているとき以外はせわしなく動きまわっている子どもがひとりでアルバムを眺めているのは不思議な光景でした。
「なぁ、写真見てどう思うの?」そう訊ねると、舌っ足らずながらも、オトナのようにしっかりと返答してくれました。
「うれちいとかなちい」真顔です。
「この写真の時のこと覚えてるの?」私は好奇心からそう訊いてみました。すると、
「(写真の中の自分が持っているおもちゃを指差し)これガオレンジャ*1、(その時机の上に置いてあった小さなおもちゃを指し)マイレンジャ、にに(兄のことをこう呼ぶ)ポキン、イタイイタイ」と答えてくれ、私は驚きました。写真を撮った時期、子どものお兄ちゃんは公園で骨にひびが入れてしまい、しばらくギブスをしていたのです。その時にあまり構ってあげられないからと買ってもらったもちゃがガオレンジャだったのです。
そっとしておいたら、1ページ1ページを時間をかけて、二十分ほども静かに写真を眺めていました。写真に写っている人の名前と、その写真を撮ったときにいた人や場所の名前をブツブツつぶやきながら。
私は小学校二年生ぐらいからの記憶しかないので、なんだか負けたようで悔しいような不思議な気分になりました。

*1:たぶんそう言ったはず