いま、日本むかし話が熱い

あなたは何に逃避しますか?

あとちょっと、あと十分してキリのいい時間になってからすっきりとして仕事にかかろうと考えながら小説やマンガ、インターネットなどをする人は多いと思います。しかし、どれも時間がかかるか、終わりの時間を自分で決めないといけません。キッチリとした時間管理ができるぐらいなら、逃避なんてしませんよね。そんな同志にすすめたいものが、あるんだ。

それは、誰もが子どもの頃に接したであろう、「日本むかし話」です。一話が15分程度で完結するのに加え、教訓(めいた)が含まれたお話ばかりです。鑑賞し終えたあとに「ああ、やらなければならないな、必死で生きなきゃならないな」と思えます。前向きに生きる必要があるかないかは、人それぞれの選択なのでなんともいえませんが、ないよりはあったほうが得なときもあります。。

声優を担当している市原悦子さんのスキルが凄い。凄すぎる。市原悦子の出演している「家政婦は見てた」「おばさん刑事」のようなドラマに対して「おもしろくないし、なんかムカツク」と感じている人でも、自然にその声を受け入れてしまいます。そのスキルの凄まじさは、老人・男性・女性・子ども・動物・鬼などの声を、一話の中で何人も声色を変えて演じているのに、まったく違和感なく受け入れている自分が一番理解しています。男の人(常田富士男さん)の物まねはなんとなくできますが。悦子の真似は非常に難しい。



サザエさんドラえもんのTVアニメにおいて、街中でのエキストラとして登場した人が「あ!いまのタラちゃんがバブーじゃない感じ!」「出来杉くんじゃなかった?」といった感じで気づいて、なんとも言えない気持ちになったことはありませんか?そういう引っ掛かりがまるで発生しないのです。

昔話というのは、不条理な設定が多々あります。どうして拾った子どもを簡単に育てるのか、「お父さんとお母さん」がおじいさんおばあさんにしか見えないのはどうしてか、川をお椀で下っていくのは危険すぎるんじゃないか、突っ込みどころは山盛りです。そこを得意げに「ここがおかしい」「昔話は残酷なものが多い」などと考えずに、主人公の立場に没入し、一緒に闘い、悲しみ、感動すると、楽しさは倍増です。本当の意味で心をまっさらにして物語を楽しむという、物事を楽しもう、ケチをつけずに受け入れる訓練にもなります。

しかも、それが約十五分で楽しめるなんて……びっくりするほどコンパクト。

個人的にイチ押しは一寸法師です。出会い・別れ・苦難(お椀での川くだり)・恋(姫様との禁断の愛/逆キングコング)・鬼との闘い(フリークス同士の決戦)・そして鬼の体内に侵入(ミクロの決死圏)などのこれほどまでの盛りだくさんの内容が詰まった物語が十五分に!

やまんばとわらしべ長者もなかなかいいですが、やっぱりマイライフタイムベストは一寸法師。この想いを周りに熱く語っても、「そうだね……」とぬるい反応しか得られませんでした。このインターネットの海に向けて、同志がいないか、ここでちいさな声を上げてみようと思い立ちました。

(リンク・公式ページ)http://mbs.jp/mukashi/index2.html

一寸法師、もう五回は見ました。子どもが宮崎駿の映画を何度も何度も繰り返して鑑賞しているのを「子どもだから何度でも楽しめるんだな」とわかったような気分でいましたが、子どもの気持ちがようやくわかった気がします。何度でもハラハラ面白い。

日本むかし話(1) [DVD]

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一寸法師という名前から、ずーっと「ちいさなおぼうさん」という意味だと思っていましたが、単純に「ちいさな(一寸の)ひと(ほうし)」というだけだと初めて知りました。
いいないいな、人間っていいな やさしい踊りとふわふわの服、かわいいあの子は夜更けに消えた あしたあしーたおうちにかえろ、でん・でん・でんぐりがえってバイ・バイ・バイ!(うろおぼえ)