知らない古い時代なのになつかしい

なぜか向田邦子の「あ・うん」を思い出していた。全くタイプの違う戦友の水田仙吉と門倉。気持ちを抑えて抑えてなにかが起こりそうで起こらない。あふれる気持ち。行間から……という、分かったような言葉を書き出した自分に気づいて、せっかくの繊細でいい物語を決め付けるような真似をしたら台無しにしてしまうから、何も考えないで読み直そうと思った。
向田邦子の生原稿はぐにょぐにょした筆跡だったけれど、文章ははねの大きな楷書書かれたような力強さ。

新装版 あ・うん (文春文庫)

新装版 あ・うん (文春文庫)

中川一政の絵が表紙のこれがいちばんしっくりくる。最初見たときに、失礼な話だけれども、アウトサイダー・アートかと思いました↓左側に表示されている小さな本にマウスカーソルを合わせると拡大されます。

(リンク)中川一政美術館 装画