優勝の余波(セの)

玄関の呼び鈴が鳴ったのでドアを開けると、笑顔のおばさんが中日ドラゴンズの銘が入ったハッピと、紙の帽子をかぶって立っていた。近所のスーパーの宅配サービスを利用しているので、ああ、中日が優勝したから配達の人が着てるんだ・・・着せられてる・・・と思ったけれど、おばさんはハッピ等には全く触れずに「今日の分は水菜とベイビーリーフと」素の表情でオーダーを確認して、手際よく私に商品を渡してくれました。


私が受け取った荷物を下に置くと、おばさんは思い出したように肩にかけたトートバッグの中をゴソゴソと探し、「これ、いらないかもしれないけどキャンペーンだからいる?」となぜか恥ずかしそうに、中日ドラゴンズの選手やキャラクターを使った下敷きやクリアファイルを見せてくれました。「ごめんねこんな地味なのしか残ってなくって」といいながら、井端が逆シングルで捕球している写真を使ったものを手渡してくれました。
「地味だけどすごくうまい人なんですよショート、遊撃手でね。荒木っていう選手とのコンビでアライバと呼ばれててそれはもう……」と、なぜか私が井端を援護するような気持ちで説明したのだけど、おばさんは興味なさそうに生返事で、「このハッピ着てるとお客さんに信子夫人信子夫人って言われるよ。失礼な」とぼやいていました*1。確かに劇似であったので、否定も肯定もしませんでした。お互いに言いたいことを言いあってみて、それに気づいてすこし気まずい笑いをした後、なんとなくな会釈をしておばさんは去ってゆきました。なぜか下敷き、クリアファイル、メモ帳と粗品っぽいちいさな爪切りなど一式を貰い、玄関に置きっ放しにしていたのですが、回覧板を持ってきてくれた隣の家の子ども*2がすげえ!イバタ!と言って持って帰ってくれました。井端は私の家で塩漬けにされずにすんでホッとしたことでしょう。ミッドランドエリアならではの出来事です。父ちゃん頑張れ。

*1:参考:http://www.youtube.com/watch?v=Mkjd34p8Avg

*2:小学生・帽子には白地に青の「D」の文字・回覧板は玄関に置いていってくれてもいいのですが、人に手渡すということが大事らしく、必ず玄関をノックして「かいらんばんです!かいらんばんです!」とライトにうれしいような迷惑なような