あばれはまぐり


言い出して、あとに退けなくなる事がたまにあります。いつも心ここにあらずといった雰囲気を持つ私の友人、徳ちゃん*1がそんな事態におちいりました。
きっかけはささいな言葉だったそうです。「徳ちゃん先輩、料理とかされますか」と後輩(女性)に質問され、できないと素直に言えばいいのに、それでは話が終わってしまうし、流れ的に「やれない人間は無能」という雰囲気+面白くしたかったために「ああ、できるさ」と答え、適当に話をあわせてしまったそうです。ずいぶんと離れた場所に着地したようです。

まとめると、

徳ちゃんは料理が得意

実家は桑名

桑名といえば、「はまぐり」

徳ちゃんの得意料理は「あばれはまぐり」と適当なでまかせ

「それ、食べてみたい」と女の子

焦った徳ちゃん「今は、長良川の河口堰がアレだから…自然破壊?」と先延ばしに成功。チャンス到来?

私に電話して「あばれはまぐり」っていうのある?」と、自分がとっさに思いついた料理のレシピを質問。

私が知らないと答えると、失望の色をありありと見せ、 「そっか、やっぱり期待しすぎたな」と私のプライドを刺激、私はまんまとハメられ「なかったら、つくればいいじゃない」と創作を決意

参考までに、徳ちゃんの頭の中に浮かんだ「あばれはまぐり」を教えてもらいました。入っているものは

……心からがっかりしました。徳ちゃんの頭に浮かんだのは、十中八九ただの「天然ハマグリの酒蒸し」でしかありません。
それでは「あばれはまぐり」の名前のインパク度には勝てません。
しかし、一からレシピを創る能力はないので、酒蒸しをアレンジすることにしました。
生山椒と七味とうがらし、白髪葱を贅沢に散らした中に、買ってきた瞬間から酒漬けにしてあった酔っぱらいハマグリを入れ、ライスペーパーをす揚げしたものと一緒に食べる。

いまいちインパクトには欠けますが、まあこんなものでしょう。

作り方を伝え、徳ちゃんが料理人になる日がやってきました。
買いものに行った彼に、「全部買えた?」とメールで確認。「ひとりででき太!」と写メールで返信がありました。
満面の笑みで誇らしげな徳ちゃんの手元を見てびっくりしました。
徳ちゃん……大アサリ買ってるよ……それハマグリじゃない……
三つ葉も微妙に間違えてるし……

しかし、その晩遅くに来たメールで「助かった。あばれはまぐり大好評。ついでに女の子も料理しました。今度お礼するよ。大・成・功!」


日々の生活にオチはつかず続いてゆくね。今日の画像はおばあさんが作ったみたいなおべんとう。朝はあまりにも眠すぎて、おかず詰めているだけで、なぜか怒れてきます。

*1:男性・独身・心ない人だがハンサム