時間がどんどん加速していくような

歳をとるにつれ体感する時間の流れが早くなってゆくという実感をもたれる人が多数おられるかと思いますが、私も最近かなり時間がんばってるな、この勢いは新幹線300系アーバンライナー(近鉄電車の中では最速の機種)じゃないかと思うようになりました。
時間の流れの話を軽い気持ちですると、毎日変化のない生活をするようになって、子供のときのように新しい出来事や知識の吸収がないから、象のように体の大きなものとネズミのように小さなものとの時間の流れの違い、生活の中で自分で作る余裕のある時間の話、DoToや優先順位などの分かったような分からないような結局そういう風に考えている人がいるんだろうけど結局時間は早く過ぎ去っていくし、これは時間が加速しているんだ、ドラえもんでタイムマシンの中を通過するときにダリが描いたグニャッと曲がった時計が壁面にあるトンネル的なイメージのものが私の周りに透明な皮膜的な感じで覆っているのではないか、そんなわけないんだけどこの時の流れはおかしいぞ早すぎる……


そんなことを思ったりもするよ。



そんな加速する時間の中、時間を節約するために(というか簡単に済ませられておいしいなと思うので)最近、ロッテリアに一週間に何回か訪れています。絶品チーズバーガーとタンドリーチキン(もうすこしスパイスが効いていればもっといいのに)を買って帰るのが多いのですが、九時に開店するお店の前で、自動ドアが開くのをさりげなく(単に視線を店の中に向けないようにしているだけですが)待っていると、自分がどんだけロッテリア好きで待ちきれなくて、まるで揺れる船の上で変なセーラー服を着込んだ子供みたいな船員たちが揺れる食堂の中で空っぽの皿を目の前にしてフォークとナイフを机にドン!ドンとたたきながら足踏みをまるでちょっとした宗教儀式みたいにドン!ドンとさせて…… いるような気がすることがありますが、自動ドアが開くと、心の中でそれほど焦って買いたいわけじゃないんだけど時間的な都合でこんな感じの時間にね…… どこに向かってなのかわからない言い訳をしながらいつものように絶品チーズバーガータンドリーチキンバーガーを買って、すこしモタモタしながら支払いを済ませカウンターに背を向けました。


すると、店員さんがカウンターの横にある扉から出て、私に接近しいきなり親しげな口調で「いつも同じオーダーやな、私が言うのもなんやけどゲッソリしてる*1でもっと栄養あるものも食べて精つけなあかんで」と声をかけてきたので、戸惑いながら「この人知り合いか…でも皆目見当も付かないし本当に誰だろ」と思いながらあいまいテンションで「そうですよね最近はうどんぐらいしか食べる気がしないっすよ」的な話を合わせていると、妙な距離感に気付いた店員さんが、「こんなおばちゃんになってしまってるからわからへんかもしれんなぁ」とすこしいたずらっぽい顔で言いっ放しのまま、店の奥でなんらかの出来上がりを告げるランプが点灯したのを見て、笑顔で「じゃっ」と戻っていってしまいました。


なんともいえない気持ちで車を運転しながら誰なんだろうと考えて考えてわからなかったのですが二週間ほど経って、お風呂の中で急に思い出しました。高校生の時に友だちが付き合っていた、妙に本格的なコーヒーを出す(メニューが70種類ぐらいあった)お店でアルバイトをしていた年上の彼女でしたが、その時たぶん彼女は二十歳ぐらい。しょっちゅう足のない私たちを乗せ、後部座席のベンチシートがびりびりに裂けて中身のスポンジが飛び出している軽自動車で色々なところに三人で遊びに行ったし、真夜中に田んぼのあぜ道に落ちたそいつを必死で(私は横で無駄にてこの原理をもっと使えとか摩擦度をあげようとかわかったような適当なことを口で言っていただけ)引き上げたり、軽い気持ちでちょっと京都にでも行こうかといって出掛けたはずなのに岐阜県の訳がわからない連続殺人が起きそうな集落でガス欠になって真夜中に立ち往生事件とか色々あったのですが、友だちと彼女が別れてからはスパンとそれまでがなにもなかったかのように切れてしまい、いつのまにか記憶の中からさっぱり霧散していました。


結構長めの髪の毛を、ちょっとした水前寺清子みたいな角刈り的ベリーショートにしていたのもすぐに思い出せなかった原因で、彼女もかなり時間の流れの高速化の被害を受けているようであるな……


と、そんなことを思ったりもしたよ。

*1:身長が180で体重が50キロというヤセマッチョというより一反もめんみたいな体型になってしまっている