重過ぎない重さ、ひびくリアルな言葉/重松清

作家の重松清が、テレビでドキュメンタリー番組で戦時中の兵士が書き綴った日記を目にして、その内容の人間らしさに心を打たれる。その日記の中には故郷に残した妻子、彼女に対する思いが素直な言葉で綴られていたけれど、その言葉は向けられた人々の目に触れることなく、アメリカの戦時資料としてひっそりと六十年の間眠り続けていた。
重松清とディレクターは、当初のドキュメンタリーの内容を変更し、それらの日記に描かれていた人々を探し、その言葉を伝えることにする…「十七年の思い出を持って来世に行く、ありがとう」「彼女の肌にもう一度触れたい」「死にたくない、帰りたい」残されていた日記の言葉はあまりにもリアルで、胸がギュッと痛くなるほどでした。

「貰わなかったら読む機会なかったよ」とありがとうメールを送ったら、「なんだか戦争っぽかったから読んでない。送り返して」と帰ってきました。