妹とバスに乗って/レイチェル・サイモン

前からちょっとタイトルが気になっていたので読みました。戦いがたっぷりの本を読みすぎたので、箸休め的に読むつもりだったのですが、けっこう引き込まれてしまいました。
障害を持った妹と、今まで仕事を理由にあまり積極的に関わってこなかった姉が「一年間」という期限を決め、妹の生活に一歩踏み込んでいった記録です。妹の無邪気な部分、ずるさに苛立つ気持ち、妹が自活している家についての描写、バスの運転手に愛されたり、邪魔に思われる妹を弁護したり、仕事の邪魔になっていると文句を言う運転手の気持ちを理解してみたり、やさしい筆致ですが、いろいろな立場から障害というものを考えています。
まったくノンフィクションという感じはなく、淡々と毎週毎週妹の元に通う日々が描かれ、人生の半ばに差し掛かった人が、自分のこれからを妹との生活の中で考えるといった落ち着いた本です。やさしさとあきらめと人生が詰まっている本でした。

妹とバスに乗って

妹とバスに乗って